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米国と中国、数値を盛り込んだ気候目標で合意

タリン・フランセン、メングピン・ゲー、トーマス・ダマッサ

This blog post was originally published in English on November 20, 2014.

バラク・オバマ大統領と習近平国家主席による気候問題に関する歴史的発表を受け、米中両国は欧州連合と歩調をそろえて温室効果ガス(GHG)の新排出制限にコミットすることとなった。世界の他の国々の合計とほぼ同量のGHGを毎年排出しているこの3つの経済大国によるコミットメントは、重要な意味を持つ。世界がその炭素収支の範囲内に踏みとどまる可能性の存在を示唆するからである。

過去の排出量合計および一人当たりの排出量が示すように、中国と米国は発展段階が異なるが、その数値は、両国が提案した削減幅は月並みな水準から大きく踏み出したものであることを示している。とはいえ、これらの目標を達成し、その野心を現実にするためには、さらなる努力が不可欠であろう。

両国の排出量推移を踏まえたとき、この目標が持つ意味合いを以下に要約する。

米国

目標の内容:

米国はその新たな目標のもと、GHG排出量を2025年までに2005年水準比26%~28%減少させることになる(米国は2020年までに17%、2050年までに83%の範囲での削減を過去に約束している)。この新目標が達成されれば、米国の2025年の排出量は過去40年以上における水準を下回ることになろう。そのためにはGHGの年間削減率を、2005~2020年の1.2%から、2020~2025年は2.3%~2.8%へとほぼ倍増させる必要がある。

現在の排出量推移との比較:

米国が新たな2025年目標を達成するためには、現在のペースを上回る排出削減が求められるであろう。米国政府のデータ(図の「対策実施」シナリオ)に基づけば、2012年時点では2020年目標の達成さえ危ぶまれる状況であった。米国はその後、大統領の気候変動行動計画において既存発電所の基準その他を定めるなど、重要な新施策を発表してきたものの、まだ実施には至っていない。ロジウム・グループの調査結果によれば、これらの施策を果敢に実行する以外、2020年目標の達成は不可能である。2020年目標を上回る削減ペースが求められる2025年目標に到達するには、これらの施策や追加措置のさらなる拡充が必要であろう

中国

目標の内容:

中国は、CO2排出量を2030年前後をピークとして削減し、この期限を前倒すべく最大限の努力をするとした。この発表では、排出量がピークに達する水準を明示していないが、2030年前後にピークを迎える複数のシナリオからして、ピーク時の排出量は年間約100億トンと推測される。また、中国は一次エネルギー消費に占める非化石エネルギー源の割合を2030年までに約20%まで拡大すると計画している。中国はかつて、GDP一単位当たりの炭素排出量を2020年までに2005年水準比40%~45%削減し、エネルギー全体に占める非化石燃料の割合を約15%まで引き上げることを約束している。

現在の排出量推移との比較:

複数のシナリオによれば、2030年をピークとするためには、中国が新たな施策を速やかに実行に移すことが条件となる。中国は排出量の削減率や最終的なピーク時の水準を明らかにしていないが、GHG排出量削減シナリオから見えてくるものがある。マサチューセッツ工科大学(MIT)と中国の清華大学、さらに国際エネルギー機関(IEA)の研究者たちは、炭素強度の低下に向けた目下の努力を継続することにより、排出量は2030年から2040年の間に年間約120~140億トンの水準で頭打ちになると予測する。排出量を2030年前後 - MIT-清華大学およびIEAのシナリオにおける約100億トンでのピーク到達と時期的に符号する - までにピークに持っていくとなると、現在のペースでは追いつかない。2030年前後をピークとするシナリオは、中国が近々対策を打つことを前提にしている。例えばMITシナリオでは、2015年の炭素税導入を仮定している。

新目標は気温上昇を2°C未満に保つのに有効か?

気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)の締約国は、気候変動による重大な影響を回避すべく、地球の気温上昇を2°C(3.6°F)に抑えるとの目標に合意している。だが、大気は地球全体を取り巻いている以上、こうした削減が一部の地域にとどまるようでは意味がない。削減幅が最終的に十分か否かは、米中をはじめとするすべての国々におけるGHGの長期的推移に依存する。気温上昇を最小限のコストで2°C未満に抑えようとする世界的取組みと整合するためには、米中両国はいかなる行動をとるべきか、いくつかのGHG予測シナリオ(LIMITSIEAなど)がその道筋を提示している。これらのシナリオは、両国が思い切った施策 - 極めつけは炭素価格の引上げ - を実行することで、排出量が2050年までの期間を通して急速に減少していくことを前提にしている。よって、2°C未満のペースを長期的に実現するには、米中両国による一層の努力が求められる。

しかし、最小限のコストで二酸化炭素を削減する潜在力は、それぞれの国が何をなすべきかを決める一つの手段にすぎない。歴史的責任や一人当たり排出量など、その他の点を考慮すれば、削減のペースや分担の仕方は自ずと変わってくる。例えば、エコエクイティおよびストックホルム環境研究所の研究結果は、衡平性をさまざまな形で勘案した排出量推移を例示している。この分析によれば、中国は排出量を直ちにピークに到達させ、2015年以降急速に減少させる必要がある。ただし、他国はこうした削減の相当部分について資金協力することになろう。一方、米国は2025年までに排出量が二酸化炭素換算値で40億トン未満に急減し、発展途上国の大幅な緩和に向けて資金を提供することになる。

将来展望

温暖化を2°C未満に抑えるには、大規模な集団的努力、とりわけ世界の経済大国の取組みが不可欠である。中国、米国、EUは率先してそれぞれの目標値を発表してきたが、世界の三大排出国として、今後も可能な限り野心的な削減を実現させる責任を逃れることはできないであろう。

各国は将来に向けて、奥の深い取組みが求められる。中国は石炭使用の上限設定、再生可能エネルギーや効率のさらなる重視、化石資源や炭素の価格見直しなどが必要であろう。米国は既存発電所に対する規制を強化するのみならず、他の部門についても連邦および州レベルであまねく対策を講じる必要がある。さらに、こうした目標や対策の進捗状況を共通の手法で追跡し報告することで、正確性と一貫性に留意した改善評価を徹底し、次のレベルの緩和目標を周知させることが重要になる。しかし、こうした取組みの成果が技術コストの低下や人口動向の変化と組み合わされば、これらの国々は過去の約束を上回る結果を生み出すことができるであろう。

排出量を2030年前後をピークとして削減させるという中国、「少なくとも」40%の削減を実現するというEU、提案された範囲内でより野心的な数値への到達を目指し、それを上回る削減の可能性も示唆する米国 - これら3つの経済大国すべてが、さらなる削減意欲を持ち続けることが肝要である。2015年末にパリで開催されるUNFCCC会議までに、こうした規制強化が実現していれば望ましい。

UNFCCCでの合意を尊重し、また、世界の他の国々の参加を促す意味でも、こうした数値の背後にある詳細な意図を2015年第1四半期までに示すことができるかどうか、これらの国の判断が待たれる状況である。

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