New: WRI statement on diversity, equity and inclusion

You are here

米国が気候問題で合意、他国の協調に期待

デイビッド・ワスコー、クリスティン・ミーク - 2015年4月1日

This blog post was originally published in English on April 1, 2015.

コメントを書

印刷する

新たな国際的気候合意に基づいて気候変動問題に取り組むという米国が提案したコミットメントは、同国が有効な対策を講じる決意を示す真摯かつ達成可能な計画といえる。今年12月にパリで開催される気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)締約国会議(COP21)の8カ月前にあたる今日、米国から約束草案が提出されたことは、グローバルな気候変動交渉に弾みをつけ、他国の行動に拍車をかけるものと期待される。

米国は、すでに草案(正式名称:各国が自主的に決定する約束草案(INDC))を提出しているスイスEU、ノルウェー、メキシコ、ロシアとともに、新たな気候合意の中核を成すことになる。

排出量世界第2位の米国は、この包括的提案を活用して、より大規模な気候対策の国際的推進に貢献することができる。米国のコミットメントは、今世紀半ばまでに温暖化の原因となる温室効果ガスの大幅排出削減への道を開く必要性を明確に示すことにより、世界に向けて重要なシグナルを発するものである。

米国の気候対策草案の基本的内容

この米国草案における最重要目標 - 温室効果ガス排出量を2025年までに2005年水準比26%~28%削減する - は、米中両国が昨年11月に行った歴史的発表に基づいている。この草案ではまた、この目標が2050年までに経済全体で80%以上削減するためのペースと整合することも示唆されている。

この削減目標は、困難ではあるものの達成可能な数値といえる。2020年から2025年の期間、米国は削減率を、現時点から2020年の期間についての目下の計画ペースを倍増させることになる。これを達成するためには、政権が採用し得るあらゆる手段を動員する必要がある。具体的には、自動車排出ガスの削減発電所や石油・天然ガス生産設備の改善の対策に加え、エネルギー効率の向上ハイドロフルオロカーボンの使用抑制の施策などが含まれる。

米国提出草案のその他の内容

米国は、温室効果ガス排出結果全般についてコミットしたものの、その達成に向けた具体的道筋は約束しなかった。だが、この提案により、大気浄化法やエネルギー政策法の定める権限を活用するなど、政権が目標達成のために使用する法規制が明確になったことは間違いない。こうした情報を盛り込むことで、提案されたコミットメントの透明性が増し、米国の目標が達成可能で永続性があるという重要なシグナルを国際社会に発する効果が期待される。

2025年の目標案を実現するためのこれらの施策の多くは、現行法に基づく規制プロセスを通じてすでに実行されており、向こう10年間およびその先の期間にわたる継続性が保証されることになる。この提案は対策を必要とする部門をすべて具体的に列挙していないが、最重要部門には以下が含まれる。

  • 発電所
  • 住宅や商業施設のエネルギー効率
  • 乗用車および中型/大型トラック
  • 天然ガスシステムや埋立地から発生するメタン
  • ハイドロフルオロカーボン

こうした施策は、将来の大幅排出削減の推進に向けた土台作りに役立つであろう。米国が2025年の排出削減目標を達成するためには、提案の中で言及している多様な法律のもとで、産業部門や航空機といった未対応の排出源に関する基準などの規制を継続的に開発することも必要であろう。

米国の提出草案には、土地利用や林業部門に由来する排出量や除去量の測定方法に関する情報など、透明性を高める重要な要素が盛り込まれている。これにより、目標達成のためにオフセットなどの市場原理を用いる意図はないことが明らかである。

米国の貢献度の衡平性および野心に関する記述は、範囲が限定されている。米国と他国の対策を比較評価したり、排出削減の目標水準に向けた到達度を見きわめるためには、これらの点に関する情報が不可欠である。衡平性と野心に対する配慮として、この草案では米国の排出削減率を倍増させるとともに、2050年までに80%以上の削減を目指すとしている。だが、米国の約束草案は他国案と異なり、一人当たり排出量、経済的キャパシティ、削減ポテンシャルといった衡平性の重要指標を使用していない。こうした記載なしで貢献を提示していることから、米国がその国情を勘案しつつ削減ポテンシャルを最大限実現しようとしているか否かの判断が難しくなる。

次なる一手

排出量を最大28%削減するという米国の提案は、2025年までの期間を通した重要なコミットメントであることは間違いない。だが、地球の温暖化を2°C(3.6°F)以内に抑え、今世紀半ばを目処とする脱炭素化への大きな方向転換に向けて世界が順調に前進するためには、米国は自らの努力を今後も加速させる必要があろう。

幸いにも、企業や消費者の資金を蓄えて公共医療の充実を図れば気候と経済の両面にメリットが及ぶため、米国にできることはたくさんある。気候変動パリ会議が間近に迫るなか、すべての国々が、都市、企業、その他のプレイヤーたちとともに、こうした好機をものにすべく協力することが重要である。

米国の有権者は野心的な気候変動対策における先導的な取組みを支持している。最近の世論調査を見ても、炭素排出量の削減を通じて気候変動への取組みをすべての国々に義務付ける国際協定へのオバマ大統領の署名を歓迎する声が圧倒的に多い。米国の提案はそうした方向へと向かう重要な一歩であり、世界の取組みを必要な水準にまで引き上げるのに貢献するはずである。

climate, INDC, japan

Stay Connected